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泉美木蘭
2020.8.7 10:20

イギリス、ロックダウンの科学的結論は出ていません

今朝の『羽鳥慎一モーニングショー』で、玉川徹氏が、
当初、緩和政策だったものの、3月23日にロックダウン政策へと
転換したイギリスでは、1週間早くロックダウンをしていれば
死者を半分にできたと言われていると紹介し、
当初ロックダウンできなかったのは検査が足りなかったからで、
間違いを認め、大きく舵を切り、1日50万件に検査を増やすと
方針転換した、そんなイギリスがうらやましいと発言していましたが、

イギリスでは、ロックダウン政策が正しかったとは総括されて
いませんし、そもそもスウェーデンが成功したことによって、
ロックダウンに懐疑的な見方がかなり出てきています。
ボリス・ジョンソン首相は、最近のインタビューで、

「最初はウイルスを十分に理解していなかった」

「当初は、いかに無症状の人から人へと感染が広がっていたかが
わかっていなかった」

「違うやり方ができたこともあったかもしれないし、実際には
何をどうすべきだったか、あるいはどういう別の方法があったのか、
正確に理解するための時がいずれくる」

「命を落とした方ひとりひとりを追悼しているし、遺族の皆さんの
ことをとても気にかけている。そして政府が行ったすべてのことに、
私が全面的に責任を負う」

とは述べていますが、

「ロックダウンの開始が遅すぎたのかどうかは、科学的にはまだ
結論は出ていない」

と発言しています。

そして、「ボリス・ジョンソンがついに、政府の新型ウイルス対策に
失策があったと認めた」と言っているのは、野党です。

これを「政府が間違いを認めた」と切り取って報道したメディアも
ありますが、それは完全にスウェーデンのテグネル博士の発言を
ねじ曲げたのと同じです。

→スウェーデンに対してネガティブな新型コロナ報道のこと
https://www.gentosha.jp/article/15907/

そもそも、4万6000人以上の死者が出ており、
この8月になっても、1日に89人もの死者が出つづけている
イギリスの
ロックダウン政策を、玉川氏はなぜそんなにも
「うらやましい」と思うのか
さっぱりわかりません。

7月20日の「自粛による中長期的な死者数を予測してみては?
にも書いていますが、イギリスは、ロックダウンによる影響で
中長期的に
どれだけの死者が出るかという試算も行っていて、
これが「テレグラフ」のトップ記事としても報じられています。

さらにイギリスは、死者統計の欠陥もかなり前から指摘されて
いました。

バイク事故で救急搬送されて死亡した人が、PCR陽性だった
という理由で「コロナ死」と報告
されたケースもあったほどです。

さらに、昨日の「デイリーメール」の記事によれば、
コロナ回復後、数か月経過してから死んだ人を「コロナ死」で
カウントしたものまであり、保健省が統計のミスを認め、
4000人程度は「コロナ死者」から除外し、
正しく統計を修正する
必要があると認めています。

日本では、厚労省が、PCR陽性なら死因に関わらず「コロナ死」に
含めるとお達しを出したりして、
最近も、別の病気で倒れていて救急搬送され、亡くなった人が、
PCR陽性だったことから、「新型コロナによる死者」としてNHKで
報じられました。これ、検証すべき問題ではないでしょうか。

玉川徹氏は、「PCR検査をしてどんどん隔離せよ」という暴論のために
海外の報道を都合よくねじ曲げています。

私がイギリスを「うらやましい」と思う部分を言っておきますと、
あれほどの感染蔓延が起きたのに、政府が飲食代の一部を負担する
「GO TO EAT」を堂々とはじめていることや、
ロンドンで、マスク強要に対するものすごいデモが起きていることですね。
ドイツのデモもすごいですが、ロンドンのもすごいです。

こういうデモ、どうして報じないんですか?

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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